算数嫌いでテストは60点がやっとという男の子が、算数好きになって100点を取る話。

登場人物


ケイくんは小学2年生からナビに通っていました。ただ勉強は大嫌いで、17時からの授業に時間通り来たことはありませんでした。3年生になってからは、休むことも多くなり、テストの点数は算数が60点くらいでした。

教室長:「もしもし、ナビの山田ですけれど。ケイくん、まだ今日もまだ塾に来ていないんですけれど。。。」
お母さん:「ええ。。。遊びに行って帰って来ないんです。帰って来たら連れていきますので。」
教室長:「ええ。お待ちしていますので。」

30分後、お母さんからお電話。

お母さん:「あ、先生。ちょっとまだ帰って来ないものですから、今日はお休みさせてもらいます。」
教室長:「わかりました。また、来週お待ちしています。」
お母さん:「あっ先生、うちのケイはこんな感じなので、もう塾をやめさせようかと思っているんです。」
教室長:「そうですよね。このままでは意味が無いので、自分がケイくんとじっくり話してみてご報告したいと思います。ですから来週は必ずケイくんを時間通りに連れてきてもらえませんか?」
お母さん:「はい、わかりました。来週は必ず連れていきます。」
教室長:「お手数ですが、よろしくお願いします。」

次の週、お母さんは約束通りケイくんを時間通りに連れてきてくれました。ケイくんは無理やり連れてこられて、少し機嫌が悪そうな感じです。
この日の授業では、これまでに習った図形の問題をいくつかピックアップしてやらせてみました。いつもの計算や文章題をつまらなさそうにしていたので、普段とは少し趣向を変えてみようというのが狙いです。

授業を始めてビックリしたのですが、ケイくんは分度器の読み方が全部反対です。
60度は120度、30度は150度といった具合で、読むべき角と反対側で答えていました。これではいくらがんばって答えを出しても、全部×になってしまいます。
分度器の使い方に限らず、ケイくんはどうも最後まで話をきちんと聞かずに早とちりしてしまう傾向があるようで、自分ではできたと思っても、答え合わせをすると全然あっていないということがよくあるようです。
このことが、ケイくんの勉強嫌いに拍車を掛けていたようです。

ケイくんに正しい分度器の読み方を教え、問題を解かせたところ見事全問正解!
するとケイくん、とっても嬉しそうにしています。ここですかさず次の図形問題を出題すると、ケイくんは一生懸命、この問題に取り組み始めました。
分度器の読み方のように勘違いしていることはよくあるので、新しい内容に進む時は、後ろからちゃんと解き方があっているかを確認して問題を進めさせるようにしました。

この日の授業の最後にケイくんに感想を聞いてみると「図形の問題は楽しい。」と笑顔で答えてくれました。今回の授業で少し算数の勉強に興味を持ってくれたようです。
そこで、「じゃあいつも授業の最初は図形の問題から始めるようにしよう。それから、ケイくん、授業には遅れずに来ること。これだけは約束してね。」と伝えました。
この日の授業の様子をお母さんにお伝えすると、「じゃあもう少し様子を見てみたいと思います。」ということでした。



そしてその次の週。ケイくんはきちんと時間通り塾にやってきました。
まず授業の最初は図形の問題。先週と同じように、一生懸命問題に取り組んでいます。そして次はいよいよケイくんの大嫌いな文章題。
するとケイくん、問題を見た瞬間に式を書いて答えを出してしまいました。
「え?ケイくん。この問題やったことあったの?」と聞くと、「いや、初めてだよ。」という答え。ケイくんは天才かもしれない。。。



その時の問題がこれ。
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72まいの色紙を、4にんで同じ数ずつ分けると、1人分は何まいになりますか。
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ケイくんは問題を見た瞬間に72÷4=18 と瞬時に答えを書いたのです。もちろん大人だったらすぐに問題の意味を理解して式を立てることは簡単にできますが、小学3年生で割り算を習ったばかりの子が、この文章題を瞬時に解けることは稀です。
そこで「どうして式がすぐにわかったの?」と聞くと、「割り算の問題だから、割り算の式を作ったんだよ。」という答え。
つまり、最初から割り算の式を作るつもりで、文章は読まず、目に付いた72と4という数字で式を作っただけだったのです。
この問題では奇跡的に正解できていますが、これでは全然力はつきません。
それに実際のテストはこのやり方で正解できるはずがありません。
聞くとケイくんは、文章題はいつも問題を読まずに式を作って答えていたというのです。そんなケイくんに、きちんと文章を読んで答えさせるにはどうしたらよいか?これは大変な難問でした。
当たり前のことですが、文章題で文章を読まずに問題を解いていたのでは意味がありません。でも、断固として読もうとしないケイくん。
どうしたらよいか?考えていても仕方がないので、私が替わりに読んであげることにしました。問題文を読みながら、意味を噛み砕いて説明してあげると、「ふ~ん、そういうことなんだ。」という反応。その上で式を立てる。これを何問か繰り返しやって、「じゃあ自分で読んでやってみる?」と聞くと、「うん」という答え。私は内心「やった!」とガッツポーズしていました。
ケイくんはちゃんとやり方に納得すると正しいやり方を受け入れてくれたのです。

図形、文章題と、ケイくんはきちんと問題に取り組めるようになりました。
実はこれ以降、ケイくんは塾に遅刻したり休んだりしたことはなく、いつも時間通りに通塾するようになっていました。
きちんと意味がわかって、正解できるようになったことで、少しだけ勉強が好きになってくれたみたいです。
そんな状況で2ヶ月ほどが過ぎました。
そろそろテストがあるだろうと思っていましたが、小学校のテストは中学校の様に、テストの日程や出題範囲が発表されて行うものではありません。ですから、いつやるかもわかりませんし、同じ学校でもクラスが違うと別の日に行うので、塾として対策を行っているわけではありませんでした。
そんなある日、ケイくんと同じ小学校で同じクラスの生徒が算数で100点を取ってきたのです。そのお母さんとお話すると、「クラスで100点が3人いたみたいなんですけど、3人とも同じ塾生みたいなんですよ!」と。生徒に聞くと「みんな同じ塾じゃないか!と話題になっていました」ということ。その生徒ともう一人の生徒はちょくちょく100点を取る常連でしたが、あともう一人、同じクラスの生徒といえば、塾には一人しかません。
そう!ケイくんです。
でもこれまで100点はおろか、80点以上の点数を取ってきた事なんてありませんでした。



ちょうどその後の授業にケイくんがやってきました。
教室長:「ケイくん、テストってあった?」
ケイ:「うん、あったよ」
教室長:「何点だった?」
ケイ:「え、100点。」
教室長:「すごいじゃない!」
ケイくんは照れくさそうにしています。

その日の授業後、ケイくんを迎えに来たお父さんとのお話。
教室長:「ケイくん、算数で100点でしたね!」
お父さん:「え?そうなんですか?」
教室長:「え?お父さん、ご存知なかったんですか?」
お父さん:「ええ。初めて聞きました!ケイが100点を取るなんて、信じられない!」
教室長:「ケイくん、お父さんにも言ってなかったの?」
ケイ:「うん」
教室長:「こういう時はちゃんと自慢していいんだからね。わかった!」
ケイ:「はい!」

塾長が見る勉強のポイント

ケイくんは勉強が嫌いに見えますが、実際は「できないこと」が嫌いでした。
そこに気が付くのに時間がかかってしまったことは申し訳ない点です。
ただ、そこがわかってからの対応は的確で、

①わかってないままやらせることを無くす

②文章を読んであげることで、正しいやり方とできるという気持ちを教える

こうした指導により、ケイくんの勉強嫌いを克服することができました。
その結果、成績アップを実現でき本当に良かったです。

公式HPはこちら

マジナビ 奇跡を生んだ勉強法親子と先生の成長物語 ~Another story~

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